ストライキが常態化したフランスにて

想像できるだろうか?

10分前に指定席のチケットを窓口で購入して、停車しているプラットフォームを確認して、指定座席に乗り込む。そろそろ電車が出るはずだ、と思っても電車は少しも動かない。

ややしてアナウンスがある。が、英語ではない。フランス語だけ。しかもチャイムも鳴らずに唐突にくる。Google様の自動翻訳を起動させる暇もない。

同じコンパートメントに座っているフランスの人はやや諦め顔で、再びスマホに目を落としている。全くわからないが、非常事態ではなさそうだということだけは把握した。

さらに10分以上経過して、唐突にアナウンスが入る。今度は少し長い。例によって、自動翻訳を起動させられない。それほど多くない人がプラットフォームを走っているのを車窓越しに見かける。が、同じコンパートメントの人は動かない。なので、私もそのまま様子見を決め込んだ。

さらに10分以上経過して、今度は長いアナウンスがあった。同じコンパートメントの人は、やれやれ、という顔をして、「この電車は発車しないことが決まったよ。降りたほうがいい。」と教えてくれた。

プラットフォームに降りると、人だかりがあり、駅員に詰め寄っている人がいた。テレビでよく見かけた光景だった。まさか、実際に目にするとは思えなかった。

電車は全く時間通りに運行されない

どうやら、労働組合による「年金改革」への反対活動のストライキで、電車というのは乗れて、移動できれば御の字、という移動手段になっている。

電車での移動は、時間の計算ができない。

それでも数週間前と比較すると、1月20日の週は随分とマシになっているほうだと、慰めにもならない言葉をかけてもらった。

空港からのリムジンバスも、地下鉄も

1月19日にパリ郊外のシャルル・ドゴール空港(CDG)から、サンラザール駅(Saint Lazare)近くのホテルに向かう時も一筋縄ではいかなかった。

通常ならば、リムジンバス(ロワシーバス; RossyBus)に乗り込めば、空港から中心部のオペラ座まで快適に移動することができる。

しかし、今回は違った。途中の環状線の駅までしかいかないというのである。

例えるなら、成田空港からリムジンバスで東京駅に向かうところを、途中の船橋で下されるようなものである。

幸いにも、現地在住の日本人の方が同乗していたので、色々と教えてもらって、地下鉄に乗り込み、無事に乗り換えをすることができた。

しかし、自分一人でとなるとゾッとする。

ネットに接続できれば、現在地の特定はできる。路線検索も可能だ。だが、地下鉄は検索結果通りに運行されていない。

デモによる混乱を避けるため、3本以上の地下鉄と接続できる駅のほとんどを通過してしまうからである。運行時刻も通常ではない。だから、役に立たない。

地下鉄の路線番号と行き先だけを頼りに、正しい路線を辿るように注意して乗り換えなければダメだ。

しかも、パリ市民はもう慣れっこになっていて、困っている顔を見かけない。困っているのは、決まって観光に来ている人だ。スリなどがいたら、格好の餌食になってしまうだろう。だから、不安に思っても冷静であるようにしないとダメだ。

でも、まあ、なんとかなる

それでも、フランスの大都市だから、なんとかなる。

それに今回が初めてというわけでもない。いつもきっちりとしている日本が、逆に異様に思えた。こういう状態でもなんとかなるし、それを受け入れることもできる。相手に常に完璧を求める、というのは疲れる。

どんな時でも完璧に、というのは無理な話だ。

だから、たまにこういう経験をすると、日本は結構息苦しいところなのだと、反面教師的に教えられるのだった。

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