問題解決と登山

所属する山岳会のとある席で、アルパイン・クライミングの面白さについて話題に上った。

私は、1年ほど前に山岳会に入会し、初めてアルパイン・クライミングの世界に触れました。ちなみにアルパイン・クライミングとは、登山道を歩くのではなく、ロープなどを積極的に使い、バリエーション・ルート、岩稜、雪稜、沢登り、などより自然に近い状態での登山をするものです。

登山のレベルアップを志向して

週末のハイキングから初めて、高低差1000メートルを超えるハイキング、アルプスの縦走路を歩き、テント泊縦走したりと、書籍やテレビ番組などを参考にしながら、一人で学べる範囲の山行(登山とここでは敢えて言わない)ができるようになりましたが、危険箇所を安全に通過したり、岩稜の続く登山道を踏破したり、ましてや雪山に挑戦してみるなど、もう一段高いレベルの登山技術を習得したいという欲求が高まってしまいました。

登山のレベルアップをするには、いくつかの方法があります。

  1. 山岳会に入会し、基礎を学ぶ
  2. 都道府県の山岳会連盟(東京ならば都岳連)の主催する講習会に参加する
  3. 民間のツアーや講習会に参加する
  4. ガイド登山をして、経験を積む

などの方法があり、お金と時間があれば、選択肢は随分と広がります。

私は、たまたま住んでいる近くで「集会」をしていて、オールラウンドな登山経験を積むことが期待できる山岳会に巡り会えましたので、そちらに厄介になることに決めました。

登山の面白さは何か?

なぜ山に登るのか?という質問は置いておいて、ともかくも山を歩くことが好きで、ハイキング、登山道の縦走という段階にいたのに、なぜもう一段上のアルパイン・クライミング、「登山」というレベルに移行したのか?自分自身の動機は、はっきりしません。

前述したように、もっと安全・確実に、山を歩く技術を磨きたいと思っただけです。むざむざ、危険なところに赴いて、怖い思いを楽しみたいと思ったわけではありません。

今年入会された方(私の1年前とほとんど同じ状況の方)に、アルパイン・クライミングの面白さについて質問を受けた時、正直答えに詰まりました。

楽しいことは事実です。でも、その楽しさは、「やってみるまでは分からなかった」ものでした。

レベルアップの一環として、とりあえず「食わず嫌い」はやめて、経験してみようとして始めたのが、全てのきっかけでしたので。

楽しい、おもしろい、充実感があることは、わかっています。でも、「なぜ」というレベルにまで到達していませんでした。

ベテランの一言

そこに、登山歴40年を超えるベテランの先輩が、一言教えてくれました。

それは、「問題解決」であるということ。

決められた場所だけを歩く、登山道の山登りと違い、アルパインクライミングは、自分でルートを決めなければなりません。その斜面の弱点を見出して、攻略していきます。

しかし、見方を変えれば、眼前の斜面は、乗り越えるべき壁であり、障害であり、課題なのです。その問題を解く。

  • どこが弱点なのか
  • どこが危険なのか
  • 想定されるリスクは何か
  • リスクを最小化するための安全策は?

などと、問題解決をしていくのです。

そのためには、問題解決のための「技術(クライミング技術やレスキュー技術など)」を習得して、安全・確実に実行できなくてはなりません。

心身が正常でないと、技術があっても、ミスを犯すかもしれません。

そういった総合力が求められ、適度な緊張感と達成感が得られるのが、アルパイン・クライミングの醍醐味であると。

綺麗な景色・眺望や、高山植物などは、長く見てくると慣れてしまうのだそうです。でも、問題解決の爽快感は変わるものではないと。

仕事も同じこと

なるほどと、私は唸ってしまいました。

「問題解決」ほどおもしろいものはないと、私も思っているからです。

クイズとか、パズルとかは好きではありませんが、仕事などで「問題」に直面した時、どうやって解決しようかと燃えてしまうタイプです。

だから、登山においても、状況を正しく把握して、考えて、実行に移すことにおもしろさを感じます。

登山の経験が仕事に生かすことができるかはわかりません。

でも、いろいろな過程を仕事での局面に投影することができるので、多少のことでは動じなくなりました。

高みを目指すだけが、登山ではないし、仕事でもない。ましてや人生も同じ。

上りがあれば、下りもある。断崖絶壁をトラバースする必要がある時だってあるだろう。

そういう、人生での局面との相似があることも、登山が好きな理由の一つです。

ですから、決められた道を歩くだけではなく、自らルートを考えながら登降するアルパイン・クライミングが好きになりつつあるのかな、と思うのです。

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