【読書感想文】神の値段  一色さゆり

読書は好きだ。

が、日常の忙しさにかまけてしまうと、気になる本を買っても積読状態になってしまって、最後まで読み切ることができない本がどんどん増えていく。

しかし、そんな状態であっても、ふと、小説なり、ミステリー物を読みたくなる時がある。そんな時に限って、本は持ち合わせていない。

昨日は、たまたまそんな日だった。

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運よくつかんだ隙間時間

朝8:30に東京郊外の駅でお客様と待ち合わせるため、6時台に自宅を出た。

都心に向かい、山手線から近郊区間のJR線に乗り換える。

少し早めに自宅を出たので、目的の電車まではまだ少し時間がある。

ふと、駅構内の書店に目が止まった。コーヒーを飲んで時間を調整するか、それとも本屋で立ち読みでもしようか?

私は後者を選んだ。今日は本を持ち合わせていない。幸いなことに、仕事の携帯にもメールはほとんど入っていない。これからのりこむ電車では、30分ぐらいの時間はある。

立ち読みはやめて、移動中に楽しめそうな本を買おうと、考えを改めた。

いつもは、いわゆるビジネス書の類を読むことが多い。ツボにハマるとすごい勢いで読むが、外すと睡眠誘導本になってしまう。今日は純粋にストーリーを楽しみたい。

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だったら、軽い気持ちで読めるベストセラー系の小説がいいな、と思っていたら、第14回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作の文庫本が目に止まった。

「神の値段 一色さゆり」

だった。

現代アートをめぐる物語

芸術には興味がある。現代美術もそこそこに関心はある。

だが、オークションやギャラリー経営、コレクターといったところはまるで門外漢だった。それはまるで小説の中の警察と同じ感じだった。

それは全く非日常の世界。移動中の電車に揺られながら、全く異世界の現代アートのプライマリーギャラリーに勤める主人公、田中佐和子に感情移入し始めていた。

芸術家の価値を高めること、正当に評価されるようにマーケティング、ブランディングをすることと歪んだ市場との戦いというのがこの小説の裏テーマ。

アートの本質は、宗教的なものです

主人公の上司でありプライマリーオーナーの永井唯子が接客中にこんな会話をする。

「アートは理解するものではなく、信じるものだと思います」

「誰のためでもなく、ただ自分のためだけに、その作品を毎日眺めて暮らしたくなった。」

と、こういうやりとりが心に響いた。

シリアスなミステリーものと思いきや

そんな攻防の中で主人公が尊敬する上司、唯子が絞殺されてしまう。

なぜ彼女は絞殺されてしまったのか、犯人は誰なのか、といったミステリーにありがちな展開は最後の最後まで明らかにされない。

ギャラリーオーナーの死後に降りかかる、膨大な仕事をこなしながら、殺人が起きる前の日に運命的な出会いをした「作品」の行く末を見届けるまで、今の仕事を続けようとする主人公の息遣いまでが伝わってくる「お仕事小説」なのである。

これが、めちゃくちゃに面白い。

多様な人との出会いの中で、悩み、学び、成長していく主人公に共感する。

自分も、自分の仕事に誇りをもって、真摯に毎日をやりくりしている。主人公の姿に自分の理想を重ね合わせて読んでいた。

様々に張り巡らされていた伏線が終盤に一気に収束していくところはお見事!としか言いようがない。なかなかの読後感だった。

参考サイト

以下のサイトも参考になります。

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編集後記

仕事の合間に、本を読むだなんて、とっても贅沢です。普通なら仕事に追われています。ラッキーな金曜日でした。

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