読書感想文 「ストーリー・セラー」

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子どものクリスマスプレゼントを買いに書店に出かけた時、ふと文庫本の小説を手に取った。

代わり映えのしないビジネス本の表紙やPOPに辟易としていた私には、白地に青いリボンが新鮮に目に映った。

普段から、小説はあまり読んではいない。

どちらかというと、ビジネス書ばかりに偏っていた。そのビジネス書も、最近は手に取ってない。久しく、書店から足が遠のいていた。子どもへのプレゼントを考えてなければ、決して買うことはなかったろう。

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ページをめくる手が止まらない

偏愛的なファンが作家を軟禁するアイデアはよくある話だ。

例えば、

がある。

文筆家が妻を語った話で読んだことがあるのは

どちらも読み応えのあるいい本だった。

特に後者は、結婚していない人には、なかなか分からないかもしれない。

もともと他人同士だったのに、親や兄弟姉妹以上に深く結びつき合う関係が夫婦であるが、それゆえに色々とある。

ストーリーセラーは、作家とその一番の愛読者が夫婦になっていく過程と、病気によって片方の命が損なわれる危機に直面していく過程の物語である。

それは対となる形で、二編構成になっていて、ストーリーも設定も、良い対照関係になっている。

別離の恐怖とアイデンティティ

物語を紡ぐものと、その物語を世界中の誰よりも先に読みたいと願う者。しかもその関係が夫婦ときた。この取り合わせが面白くないわけがない。

昨晩から今朝にかけて一気に読んだ。

自分の実体験と合わさって、リアルに心が揺さぶられた。

ときおり、紙面から情念というか、怨念めいたものが伝わってくる。こういうのは本の体裁では収まりがつくが、Kindleのような電子書式で段組みが可変になってるとうまく機能しないだろう。

そういう視覚的な仕掛けは、やはり紙の本がいいなと思う。

妻を、夫を、かけがえのない対となる相手を失うことの恐怖は、そういう状況に陥った者でないとわからない。

幸いにも、私の場合はそこまでには至らずに済んだが、あの絶望の淵に立ったことはある。

生を取るか、それともアイデンティティを取るか、非常に難しい選択である。

そこの決断から逃げ出してしまいたいという気持ちもわかる。

でも、それでは、周囲を巻き込んで不幸を拡大生産するだけだ。

どう決断して、実行していくのか?も、また、この物語の魅力です。

猫と子ども

後編では、猫が出てくる。

私の家族には子どもがいる。

子どもは、夫婦にとっては、未来への希望であるし、いつまでも守りたい存在なのだ。で、いい大人になっても、親は親なのだろう。主人公夫婦の親もまた、そういう親なのだ。

猫は、どうなのだろう?

でも、違った一面が引き出してくれる存在であることは間違いないだろう。

子どもが巣立ったら、きっと猫を飼うのだろうな。

こんな人にオススメ

この物語はこの季節、とっても良い贈り物でした。

数時間で読み切れますし、没頭できます。正月休みにどうでしょう。ドラマよりも、ドラマチックで、ロマンチックで、ホロリときます。

最後には心に温かいものが残ります。

不向きなのは、大切な人を失いかねない不安とか、痛みに鈍感な人。大切な人、という感覚がわからない人。

まず、感情移入できないでしょう。

ああ、微笑ましいな、あの二人、かわいいな、いじらしいな。と、余裕をもって見守ることのできる人なら、グッとくるでしょう。

素敵な物語をありがとうございました。

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編集後記

読書っていいですね。あっという間に、自分の中に眠っていたストーリーを呼び覚まし、何倍にもして魂を揺さぶってくれる。

経験の引き出しは増えたものの、ここのところ広がりが少なかったので、もっと小説を読むようにしたいと思います。

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