なぜウナギの値段が高くなったのか〜ウナギ資源と文化を守るためにできる簡単なこと

知らない人もいるかもしれないけど、ウナギは稚魚を捕獲して肥育しているだけです。それを食べたら、卵を産む親の量が減ってしまいます。たくさん食べれば、食べただけ、ウナギの資源は減っていくのです。土用の丑だから、ウナギ、という前に、もう少しウナギのことを知っときませんか。

私が生まれ育ったのは、ウナギの産地として有名だった浜名湖の北岸で、特別なお祝い事にウナギは欠かせませんでした。亡くなった父の兄弟が遊びに来てくれたときに、ご馳走してくれた思い出があります。そして、うなぎパイはとても便利なお土産でした。

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今年のウナギは高いらしい

今年のウナギは高いらしいということを知ったのは、直接的には以下の@tachiさんのブログ記事でした。

うなぎ戦線異常あり! 名店「尾花」で知った現状 | No Second Life
昨年3,000円だった「うな重の小」が今年は4,500円。1.5倍である。 昨年3,300円だった「うなぎの白焼き」も4,500円、そして昨年1,500円だった「うざく」が2,000円、1,800円だった「う巻」が2,500円にと、大幅に値上がりしていたのだ。 …
荒川区南千住の「尾花」は、食通でなくても知っている人の多い、ウナギの名店です。まだ、恐れ多くていったことがありません。ただ、普段よりもすいているならば、高くても挑戦してみたいなぁとは思います。

そういう名店がある一方で、土用の丑ともなると、スーパーのチラシには赤い文字が並びます。他店よりも少しでも安く、という姿勢は頼もしい限り、、、といいたいところですが、現実は複雑です。

ウナギは貴重品になる

というのは、ウナギというのは、完全な養殖ではないのです。

写真はウナギの稚魚のシラス(ナショナル ジオグラフィックより)

ウナギは5~8月の新月の直前に、グアム島近く、西マリアナ海嶺南端付近の太平洋で産卵するとされる。卵からふ化した仔魚はほとんど自分では泳がずに海流に乗って西に移動、その後黒潮に海流を「乗り換えて」北上し、東アジア各国の沿岸までたどり着く。

まだ小学生の頃は、実家近くの田んぼも手入れがよくされていて、河口近くに出かけてしらすウナギを捕まえて、自宅の池に放ち数年して大きくなったのを食べたことがあります。

そのくらい、ウナギとシラスウナギは縁の深い存在でした。

シラスウナギの不漁は、もうずいぶん前から話題になっていました。実家で聞いた話では、高い金を払って買ったシラスが盗まれないように、養殖の池に慣れるまでほとんど寝ずに番をしている、とのことでした。環境に慣れるまでは、シラスウナギたちは、群れてしまっているのです。そこを一網すくえば、一網打尽で盗み取ることが可能だからです。そんな、並大抵ではない苦労があって、養殖を続けていたのだそうです。それでも、年々、ウナギ養殖の池が荒れ果てていく数が増えていきました。かつて、小学校の社会の教科書では、ウナギの産地日本一だったのに、もはや、その面影はありません。過去の栄光ですが、やはり寂しいものがあります。

日本のウナギは、消費者からのより安くの要望を受けて、いびつな形で変化していきます。浜名湖や大井川(吉田町)から、愛知県へ、そして鹿児島県へ、台湾へ、中国へと養殖地の中心が変遷していきます。いかにコストを下げて、ウナギの蒲焼きを作るか?の競争になってしまったからです。

愕然としたのが、ウナギの消費量のばかげた伸びです。1980年頃の5倍にも増えています。そのほとんどの消費が日本でなされているのです。

第2回 背景に日本の消費爆発、定着した薄利多売のビジネスモデル | ナショナル ジオグラフィック(NATIONAL GEOGRAPHIC) 日本版公式サイト
世界で最も多くのウナギを食べているのは間違いなく日本人で、われわれは世界のウナギの6~7割を消費しているとされる。乱獲が主な原因であるウナギ資源の危機は、日本人によるウナギの大量消費が深く関わっているということになる …
この記事を読んで、恐ろしくなりました。日本人の身勝手さが、ヨーロッパウナギを絶滅危惧種としてレッドリストに書き連ねるように仕向けたわけですし、アメリカウナギも同様です。そういう事実がありながら、先の@tachiさんの記事を見ると、ウナギが食べたくなってしまうのです。高いから、じゃあ、スーパーのウナギで、となってしまいがちです。でもそれでいいものか?

ウナギも資源として有限であること

当たり前ですが、ウナギも親ウナギが少なくなれば、子どもを産む量が減ります。たくさん食べる一方で、十分にウナギ資源の保全を図らなければ、シラスウナギの極度な不漁に跳ね返ってくるだけのことなのです。

第1回 乱獲で資源は危機的に、生息地破壊も一因 | ナショナル ジオグラフィック(NATIONAL GEOGRAPHIC) 日本版公式サイト
日本人が長きにわたって食べてきたウナギの資源が危機的な状況にある。養殖ウナギの「原料」となる稚魚「シラスウナギ」の漁獲量の減少が著しいからだ。 …
加えて、自然環境の破壊も深刻です。河口堰、耕作を放棄された田んぼ、田んぼの水回りの生態系の破壊、私が子どもの頃に育った、豊かな自然などもう、何処にもありません。子どもの頃は、小さな畑でも、きれいに耕して作物を作っていたおじさん、おばさん、おじいさん、おばあさんがいましたが、もう、誰も見向きもせず、草が生い茂り、竹藪も荒れ果て、荒廃が進んでいます。水回りなど手間がかかるものですから、余計に顧みられることはありません。里山と同じように、一が手をかけて作ってきた自然環境があったからこそ、ウナギと共存共栄できたのだと思います。

ウナギ資源を守るために、誰もができる簡単なこと

ウナギも、日本の文化です。ウナギを愛するならば、なんとしてでもウナギ資源を枯渇させることのないようにしたいものです。

どうしたらよいか、激減した原因の反対のことをすることなら簡単に始められそうです。つまり、不必要の多くのウナギを食べないこと、安いからといってウナギを食べないことです。日本の消費量がとてつもなく多すぎるのです。それを30年前ぐらいに激減させればいい。それには、スーパーなどの特売にある、それほどおいしくはない、ウナギを無理して食べないことです。

いかに消費量を少なくして、ウナギ資源を保全するかを考えるべき段階に来ているのではないでしょうか。この異常な消費量の伸びは、ばかげています。

非常識な提案

ウナギ資源を守るためにも、おいしくウナギをいただき続けるためにも、私は以下のことを提案したいのです。

  • 日本でのウナギの取り扱いは完全許可制とする
  • 稚魚の輸出禁止
  • ウナギの食品加工は、公的機関が許可したウナギの名店とその「のれん分け」に限定する
  • ただし、チェーン店舗展開を禁じる。国家試験に合格した板前だけが、調理を許される
  • ウナギの成魚の放流・捕獲を禁じる保護区をもうける

こうすることで、ウナギビジネスは壊滅するでしょう。しかし、ウナギ資源が枯渇しては元も子もありません。クローズドな許可制を導入し、保護をすることによって、ウナギ資源の枯渇を避け、ウナギの名店に調理を許可することで、ウナギの食文化を最低限守ることができれば、それが全体にとってよい方法なのではないだろうか、と、夢想します。

あなたなら、どうしますか?

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編集後記

土用の丑のウナギもいいかもしれませんが、私は脂ののった秋のウナギの方が好きですね。これも、好き好きなんでしょうけれども。

ウナギ好きなら、ナショナル ジオグラフィックの記事は必読です。ぜひお読みいただいて、ウナギについて、ちょっとでもいいから考えてみましょう。スーパーの安売りウナギを我慢するだけでも、十分効果は上がるのではないでしょうか。

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